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ソマリア人審判のオマル・アルタン氏が、ワールドカップのために渡米する直前になってアメリカへの入国を認められなかったと報じられた。¹
アルタン氏は外交旅券を所持しているものの、アメリカ政府は今回の判断について具体的な理由を公表していない。しかし、2025年7月にアメリカは複数の国を対象とした渡航制限を導入しており、その多くはアフリカ、南米、西アジアの国々だった。² そのため、こうした制限措置がアルタン氏のビザ取得に影響した可能性は十分に考えられる。
もし渡米が実現していれば、アルタン氏はワールドカップ史上初のソマリア人審判となるはずだった。しかし、その歴史的な快挙は実現せず、代わりに「誰が大会に参加できるのか」という議論が注目を集めることとなった。
アメリカ合衆国で開催される今回のワールドカップをめぐっては、以前から公平性やアクセスの問題が指摘されている。近年の国際スポーツ大会では、アメリカ入国時の対応の違いを映した動画がSNS上で拡散された。セネガルやウズベキスタンの選手団は追加の手荷物検査や警察犬によるチェックを受けた一方、多くのヨーロッパ諸国の選手団は比較的スムーズに入国しているように見えた。³
また、南アフリカやイランの代表団はビザ発給の遅れに直面したとされ、イラク代表の関係者の中には入国時に数時間にわたる事情聴取を受けたケースも報じられている。⁴ これらの対応に安全保障上の正当な理由があったかどうかは別として、「国籍によって扱いが異なっているのではないか」という印象を与えていることは否定できない。特に注目すべきなのは、現在アメリカの渡航制限対象国にヨーロッパ諸国が含まれていない点だ。このことが、一部地域の人々だけがより厳しいハードルを課されているという批判につながっている。
もっとも、ビザ問題は非欧米諸国だけに限られたものではない。スウェーデン人選手が書類上の問題で到着が遅れたとの報道もあり、煩雑な手続きは誰にでも影響を及ぼし得る。⁵また、その影響は選手や審判だけでなく、ファンにも及んでいる。とりわけスコットランド代表を応援する一部のサポーターは、出発直前になって渡航許可を取り消されたと報じられている。⁶ 何十年ぶりとなるスコットランドのワールドカップ出場を現地で見届けるという夢は、その瞬間に打ち砕かれた。
こうした出来事を前にすると、一つの不快だが避けて通れない疑問が浮かび上がる。
いったい、この「ワールド」カップは誰のための大会なのだろうか。
本来、ワールドカップは世界中の人々を結びつける祭典である。選手も審判もファンも、国籍や宗教、政治的立場を超えて、「サッカーが好き」という共通点によって一つになるはずだ。しかし現実には、多くの人々がスタジアムにたどり着く前の段階で不安や障壁に直面している。世界の一部の人々が他の人々と同じ条件で参加できないのであれば、それは本当に「ワールド」カップと呼べるのだろうか。
また、この問題は別の矛盾も浮き彫りにしている。ソマリアが厳しい渡航制限の対象となっている理由の一つは、同国の治安や政治的不安定さだとされる。しかし一方で、アメリカ自身も現在、イランとの軍事的緊張をはじめとする複数の国際紛争に関与している。渡航制限の是非はともかく、その基準が一貫しているようには見えないという指摘もある。
ワールドカップとは、本来であれば国籍、民族、宗教、政治を超えて人々を結びつける大会であるべきだ。少なくとも大会期間中くらいは、国境よりもサッカーが主役であるべきだろう。しかし大会が始まる前から、すでに「誰がゲートを通れるのか」が議論の中心になってしまっている。ワールドカップは、もっと開かれた大会であるべきではないだろうか。






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