日本の政治の内側での経験

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2025年の夏から2026年の初めにかけて、私は日本の国会議員のもとで働く機会を得た。その期間を通して、外からはなかなか見えにくい政治の一面を目にした。それは、派手さよりも、日々の積み重ねやルーティン、そして静かな連携によって成り立っている世界だった。本記事では、その経験を個人的な視点から振り返る。特定の政策や思想に焦点を当てたり、何かを支持したりするのではなく、私が実際に見て感じたこと、そして関わった業務を通じて、日本の政治をどのように理解するようになったのかを述べたい。そのために、経験を四つの段階に分けて紹介する。インターンとしての始まり、国会の見学、学生スタッフとしての活動、そして最後の数週間についてである。

私は中谷一馬議員のもとで働いた。中谷議員は、元内閣総理大臣の菅直人氏の秘書を務めた経歴を持ち、党内では「ネクストデジタル大臣」として位置づけられており、デジタル政策分野での活動にも力を入れている人物である。


第1章: 猛暑の中のインターン

私の仕事は、2か月間の無給インターンから始まった。この期間は中谷議員だけでなく、神奈川県議会議員や市議会議員の方々とも関わりながら活動した。自宅から選挙区まで距離があったため、週に3〜4回、朝5時に起きて現地へ向かった。毎朝、異なる駅に立ち、約2時間チラシ配りを行った。8月の日本の暑さは非常に厳しく、帽子や塩分補給のためのタブレット、ネッククーラーなどを使いながら何とか乗り切っていた。

実際にやってみて驚いたのは、工夫次第で多くの人がチラシを受け取ってくれるということだった。最初は、自分が普段そうであるように、多くの人が素通りするものだと思っていた。しかし、笑顔で目を合わせ、はっきりと名前を伝えることで、反応が大きく変わることに気づいた。こうした活動には想像以上のエネルギーが必要だった。ただ立っているだけではなく、常に前向きな姿勢を保ち続ける必要がある。駅前で広告付きのティッシュを配る光景はよく見られるが、それでも多くの人は通り過ぎていく。実際に自分で経験してみて、受け取ってもらえないときの小さな落胆や、笑顔で受け取ってもらえたときの達成感を実感した。

また、もう一つの大きな業務として、地域を回る訪問活動があった。選挙区内の各地域を歩き、住民の方々と直接対話するもので、1回で90〜100軒ほど訪問することもあった。炎天下の中での活動は体力的にも厳しく、地図を自分で作成しながら効率よく回る工夫も必要だった。その中で特に印象に残っているのは、「話すこと」以上に「聞くこと」の重要性である。一方的に伝えるのではなく、相手の話を最後まで聞き、丁寧に応じることで、初めて会話が成り立つ。やり取りはキャッチボールのようなもので、双方の参加があってこそ成立するものだと感じた。

さらに、県議会議員の方とともに短いスピーチを行う機会もあった。数分間ではあったが、自分が政治に関心を持ったきっかけや、インターンを選んだ理由について話した。最初はかなり緊張していたが、回数を重ねるうちに、通りかかる人々は立ち止まって聞くというよりも、それぞれの生活の中で自然に耳にしているのだと感じるようになった。そのことに気づいてからは、必要以上に意識しすぎることがなくなり、より自然体で話せるようになった。

その他にも、チラシの準備や掲示物の作成、会議への参加、名簿の整理など、さまざまな業務に携わった。

第2章: 国会

インターン期間中には、国会や各地の議会を見学する機会もあった。衆議院の本会議場や公式行事で使われる空間を実際に目にしたときは、現実感のないような感覚を覚えた。

興味深かったのは、こうした見学が議員事務所によって頻繁に企画されている点である。インターンだけでなく、小学生の社会科見学としても行われており、若い世代が政治に触れる機会が作られている。私もその準備に関わる予定だったが、後に述べる理由で参加することはできなかった。

また、厳かな空間でありながら、日本らしさを感じる場面もあった。国会議事堂という日本政治の中心であっても、お土産や親しみやすいデザインの存在は印象的だった。

当時は石破茂氏が内閣総理大臣を務めており、売店にはその顔をデフォルメしたイラストが描かれたお菓子や記念品が並んでいた。いわゆる「ゆるい」デザインで、一見すると少し意外にも感じられる光景だった。売店で働いていた方の話によると、石破氏をモチーフにした商品は特に人気が高く、これまでで最も売れている部類に入るという。中には、最初は「買わない」と言いながらも、デザインの親しみやすさに惹かれて最終的に手に取る人も多いそうだ。こうした一面からも、政治というものが単に堅いものではなく、人々との距離感や親しみやすさの中で成り立っていることを感じた。

さらに、官房長官であった林芳正氏をはじめとする政治家の姿を間近で見る機会もあり、普段とは異なる距離感で政治を感じることができた。

国会以外には県議会を訪問する機会もあり、より地域に近いレベルで政治がどのように行われているのかについて理解を深めることができた。さらに、私が関わっていた市議会議員によるスピーチを見学する機会もあり、政治におけるコミュニケーションのあり方について、別の視点から捉えることができた。

第三章: 学生スタッフとして

インターンの終盤には、そのまま「学生スタッフ」として引き続き関わる機会をいただいた。学生でありながらスタッフとして活動する立場となり、それまでよりも一歩踏み込んだ形で業務に携わるようになった。この期間では、イベントの運営や地域での活動など、より実務的な役割を担うことが増えていった。

その中でも特に印象に残っているのが、「中谷一馬とおしゃべり会」という対話型イベントの運営に関わったことである。このイベントでは、一般の方々が参加し、中谷議員と直接質疑応答を行う場が設けられていた。私は、借りた会場の設営を担当し、椅子の配置やポスターの準備などを行い、参加者がスムーズに参加できるよう環境を整えた。

また、それ以外にも活動の幅は広がり、より人前に出る機会も増えた。地域で開催された年次の美術展では、中谷議員の代理として参加し、来場者への対応を行った。さらに、地元のお祭りにも同行し、よりカジュアルな場面で議員が地域の人々とどのように関わっているのかを間近で観察することができた。

業務の一環として、地域の事業者とのやり取りも行った。例えば、近隣の温泉施設に連絡を取り、施設の写真を撮影してSNSに掲載する許可をいただくなど、地域の魅力を発信するための取り組みにも関わった。こうした活動は、地域とのつながりを強める上で重要な役割を果たしていると感じた。

あるときには、地元の小学校で開催された行事に、議員の代理として出席する機会もあった。冒頭では、来賓として出席している関係者が順番に紹介され、一人ずつ立ち上がって挨拶をし、後方に向かって一礼するという形式が取られていた。その光景を見て、自分が小学生だった頃、運動会や地域の行事で同じような場面を見ていたことを思い出した。今度はそれを「見る側」ではなく「出席する側」として経験したことで、どこか懐かしさと同時に、不思議な感覚を覚えた。会場では、同じ地域で活動する他の政治関係者の姿もあった。ポスターなどで見かけていた人物を実際に目にすることで、これまでとは違った形で政治を身近に感じるようになった。こうした場面を通して実感したのは、政治において「顔を出すこと」の重要性である。こうした訪問は形式的なものに見えるかもしれないが、実際には地域とのつながりを保つための大切な機会であり、「そこにいる」ということ自体に意味があるのだと感じた。

別の機会には、中谷議員が使用する自転車にポスターを取り付ける作業も行った。自転車の両側に掲示物を設置し、その後、議員は実際に地域を走りながら、通りかかる人々に手を振り、声をかけていた。

このような活動を通して印象に残ったのは、特定の政策や主張そのものよりも、それを支える日々の積み重ねであった。地域との関わりは一度きりのものではなく、小さな活動を継続的に行うことで築かれていく。チラシ配りや訪問、イベント参加といった一つひとつは地味に見えるかもしれないが、それらが積み重なることで、政治家としての存在が形作られていくのだと感じた。

第4章: 最後の数週間

今年の春、家族に会うためにイギリスを訪れた。到着した翌日の朝、何気なくインスタグラムを開いたとき、最初に目に入ったのは中谷議員の投稿だった。そこには見慣れない政党のロゴが入った新しい身分証が写っていた。何が起きているのかと思い調べてみると、所属していた政党が別の政党と合流し、新たな野党が結成されていたことを知った。自分が関わっている間に、ここまで大きな変化が起きていたことに驚いたが、同時に、政治の世界は常に動き続けているものなのだと実感した。実際に関わっていたからこそ、その変化がより身近なものとして感じられた。

その直後、総選挙が突然発表された。しかし、私はすでにイギリスにいたため、現地で関わることはできず、すべてを遠くから見守るしかなかった。本来であれば、議員と党の代表(元内閣総理大臣)による対話イベントの準備にも関わる予定だったが、それも叶わなかった。また、前述の国会見学の案内に関わる機会もあったが、同様の理由で参加することはできなかった。それから数週間が経ち、選挙当日を迎えた。そのタイミングは、偶然にも私がヨーロッパを移動していた時期と重なっていた。

1日目はベルギー: この日がちょうど選挙日だった。
2日目はルクセンブルク: この日に中谷議員が落選した。
3日目はドイツを経由し、ルクセンブルクの空港へ戻る日: このとき、自分が職を失ったことを知った。

まさにルクセンブルクに滞在している最中に、その結果を知ることになった。帰国のためのフライトに乗る直前、事務所が閉鎖されること、そしてスタッフ全員がその役割を終えることを知らされた。それは、自分にとって初めて、政治の影響を直接的に受けた瞬間だった。日本から遠く離れたヨーロッパの小さな国にいながら、すべてが同時に進んでいく状況は、どこか現実味がなく、不思議な感覚だった。わずかルクセンブルクにいた24時間の間に起きた出来事であるにもかかわらず、自分だけがその流れから切り離されているような感覚もあり、言葉ではうまく表現できない感情が残った。

正直なところ、議席は維持されるのではないかと考えていた。地域での認知度や日々の活動を見てきたからこそ、大きく状況が変わるとは思っていなかった。しかし、結果としては全体の流れが変わっていた。自由民主党の勢いが強まり、野党側にも大きな変化が起きたことで、選挙結果は大きく動いた。このようにして、自分の事務所での活動は突然終わりを迎えた。それは単に仕事を失ったというだけではなく、自分が関わっていた場所の一つを失ったような感覚でもあった。特定の政治的立場に基づくものではなく、実際に関わり、学び、経験してきた時間そのものに対する思いがあったからだと思う。

その後も、中谷議員とは時折お会いする機会があり、関係は続いている。この経験を通して強く感じたのは、人とのつながりを築き、それを維持していくことの大切さである。


今回の経験を通して得たものは、特定の政治的な考え方ではなく、政治の現場がどのように成り立っているのかという実感だった。

夏の暑さの中でのチラシ配りから始まり、地域の方々との対話、イベントの準備や運営、そして日常的な活動の積み重ねを間近で見る中で、政治とは一つの大きな出来事によって動くものではなく、日々の継続によって支えられているものだと理解するようになった。

実際にその一部として関わったことで、それまで外から見ていた政治の見え方は大きく変わった。短い期間ではあったが、この経験を通して得た視点は、これからも自分の中に残り続けると思う。

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