リフォームUKは新しい政治勢力なのか、それとも「再ブランド化」なのか

写真: ザ・タイムズ

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春のはじめにイギリスに到着して、まず感じたのは天気の変化よりも、政治の空気が大きく動いていることだった。

まず前提として、現在のイギリス政治は主に二大政党である保守党と労働党を中心に動いている。その中で、近年注目を集めているのが、ナイジェル・ファラージが率いる新興政党「リフォームUK」だ。リフォームUKは、既存の政治に不満を持つ層に支持され、特に右派の有権者から注目されている。

そんな中、私がイギリスに来た初日、保守党の有力政治家であり党首選でも上位に入ったロバート・ジェンリックが、リフォームUKと関わっているという報道が出た。さらにその後すぐに、元内務大臣のスエラ・ブラヴァーマンがナイジェル・ファラージと同じ舞台に立ち、リフォームUKとの方向性の一致を示した。加えて、リー・アンダーソンのような元保守党議員も含め、こうした動きが続いている。こうした流れを見ると、一つの疑問が浮かぶ。リフォームUKとは一体何になろうとしているのだろうか。

Leaked Jenrick defection plan calls him 'the new sheriff in town' | Robert  Jenrick | The Guardian

ジェンリックとファラージ、写真: ザ・ガーディアン

リフォームUKはこれまで、保守党を強く批判することで支持を広げてきた。イギリスが抱える様々な問題は、長年の保守党政治の結果だと主張し、自らをその「代替」として位置づけている。特に既存の政治に不満を持つ右派の有権者を取り込もうとしてきた。しかし、そうした立場を取ってきたにもかかわらず、現在はその保守党出身の政治家たちを受け入れているように見える。この点は、一見すると矛盾しているようにも感じられる。

この変化の中心にいるのがナイジェル・ファラージだ。彼はこれまでも国民の不満をうまく捉え、新しい政治の流れを作ってきた人物として知られている。クラクタウン=オン=シーという地域で国会議員に選出されたことも、既存政党に取り残されたと感じる人々の支持を集める力を示している。1 彼のもとで、リフォームUKは単なる抗議型の政党から、実際に政権を担う可能性のある現実的な政治勢力へと変わろうとしているように見える。その過程で、政府経験のある政治家を取り込む動きが出てきている。

リフォームUKの大きな主張の一つに、”Britain is Broken”、「イギリスは壊れている」というものがある。これは、長年の政治の失敗、特に保守党政権によるものだという考え方だ。2 実際に私がイギリスに滞在している間も、この「イギリスは壊れている」という言葉を何度も耳にしたし、ジェンリック自身も発言の中で同様の表現を使っていた。3 このような主張によって、リフォームUKは単なる新党ではなく、「現状を立て直す在」として自らを位置づけている。

Former home secretary Suella Braverman has become the latest Conservative  MP to defect to Reform UK.

写ブラヴァーマンとファラージ、写真: スカイニュース

しかしその一方で、ジェンリックやブラヴァーマン、アンダーソンのように、最近まで保守党政権の一部だった人物たちが関わっているとなると、その主張は単純には受け取れなくなる。これまで問題の原因とされてきた側にいた人々を受け入れるのであれば、「変化」とは何を意味するのだろうか。リフォームUKは本当に過去の政治から離れようとしているのか、それとも同じ流れを別の形で続けようとしているのか。

一方で、これを現実的な戦略と見ることもできる。実際に政権を目指すのであれば、政治や行政の仕組みを理解している経験者が必要になるのは自然なことだ。元保守党の政治家を取り込むことで、リフォームUKの信頼性を高め、より多くの有権者にアピールしようとしているとも考えられる。しかし別の見方をすれば、これは単なる「入れ替え」に過ぎない可能性もある。同じような人材が集まるのであれば、本当に新しい選択肢と言えるのかという疑問が残る。また、思想的な側面も重要だ。ブラヴァーマンのような人物は、保守党の中でも特に右派寄りの立場で知られている。こうした人物が加わることで、リフォームUKは方向性を変えているというよりも、保守党内の特定の思想をまとめ直しているとも考えられる。

最終的に重要なのは、誰が参加しているかではなく、その結果としてリフォームUKがどのような政党になるのかという点だ。本当にこれまでとは違う政治を提示するのか、それとも形を変えただけの似たような存在になるのか。リフォームUKが今後さらに影響力を強めていく中で、この「変化なのか、それとも継続なのか」という点が、その評価を大きく左右することになるだろう。イギリス政治にとって新しい流れとなるのか、それとも既存の延長線上にあるのかは、今後の動き次第と言える。

1 The Guardian, “Nigel Farage’s populist pitch gains traction in Clacton,” https://www.theguardian.com/uk-news/article/2024/jun/21/nigel-farage-populist-pitch-gains-traction-clacton

2 BMG Research, “’They broke it, and they can’t fix it’ – The perception of broken Britain is fuelling Reform’s surge,” https://bmgresearch.com/news/they-broke-it-and-they-cant-fix-it-the-perception-of-broken-britain-is-fuelling-reforms-surge/

3 The Times, “Robert Jenrick and the growing Conservative defections to Reform UK,” https://www.thetimes.com/uk/politics/article/robert-jenrick-reform-kemi-badenoch-v2jw77kvs

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