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10月8日、私は日本の首相経験者3人を間近で見る機会を得た。現職の高市早苗首相と、2人の元首相である。国会議員の招待を受けて国会を訪れ、普段はテレビ越しに見ている日本の国会政治を、実際に目の前で見ることができた。議場での激しいやり取りから、党の幹部らとの短い交流まで、報道だけではなかなか見えてこない政治の現場を垣間見る一日となった。


この日の主な議題の一つは、立憲民主党の田名部匡代議員が高市首相に対し、簗和生農林水産大臣の発言について質問したことだった。簗氏は、選挙で自身を支持しなかった自治体の道路予算を削減する可能性を示唆する発言をし、批判を浴びていた。

写真: 田名部氏の質問を聞く高市首相、朝日新聞より

一般の傍聴席とは異なる場所から議場を見渡すことができ、各党の議員が座る様子を一望できた。そこには、チームみらいの党首である安野貴博氏や、日本保守党の党首である百田尚樹氏の姿もあった。2人は議場の前方に座っていた一方、ベテラン議員の多くは後方に座っていた。日本の国会では、当選回数の少ない議員が前方に座り、経験豊富な議員ほど後方に座る傾向があるという。大物政治家が前列を占めると思うかもしれないが、日本の国会では必ずしもそうではない。

最も驚いたのは、議場で飛び交うヤジの多さだった。英国の首相質疑で見られるような激しい応酬ほどではなかったものの、野党議員は高市首相の発言に何度も声を上げていた。首相の答弁に納得がいかない様子で、発言にかぶせるように大声で抗議する議員もいた。高市首相はそうした声にほとんど反応せず、答弁を続けていた。議論の中心となったのは、簗氏の発言と、高市首相が同氏を大臣に留任させる判断だった。高市首相は発言が不適切だったことを認めながらも、簗氏には引き続き職務を果たしてもらう考えを示した。これに対し、野党議員からはさらに大きなヤジが飛んだ。高市首相が答弁を終えると、自民党側の議員から拍手が起こった。それを見た野党側の男性議員が「何に拍手しているんだ」と声を上げ、続いて女性議員も「拍手するということは、彼の発言に賛成だということなのか」と問いかけた。

簗氏本人も議場におり、自身の発言について謝罪する演説を行った。それから1週間も経たない10月14日、簗氏は農林水産大臣を辞任した。数日前に国会で謝罪する姿を見ていただけに、事態がこれほど早く動いたことが印象に残った。1

Scandal-hit agriculture minister Yana announces resignation - The Japan  Times

写真: 辞任した簗農林水産大臣、ジャパンタイムよりズより

議場を離れた後、立憲民主党と中道改革連合の議員らによる会合にも短時間ながら参加することができた。立憲民主党の会合は和やかな雰囲気で、蓮舫氏をはじめとする党の幹部らが出席していた。一方、中道改革連合の会合は、党の先行きが不透明な時期に開かれたという点で興味深かった。中道改革連合は2026年1月の衆議院議員総選挙を前に結成され、衆議院では立憲民主党と公明党の議員が合流した。しかし、参議院の両党議員も加わる形での拡大は実現しなかった。その後、中道改革連合は解散し、新たに「民主改革の会」を結成する方針を発表した。私が会合に出席した時点では、まさにその移行が進んでいるところだった。2

党内の状況が大きく変わり、緊張も高まっているため、普段とは少し違う雰囲気かもしれないと聞いていた。会合には、中道改革連合の小川淳也代表と、元首相の野田佳彦氏も出席していた。21世紀の日本政治史に特に関心がある私にとって、野田氏を実際に目にすることができたのは印象深かった。つい数か月前まで野党を率いていた元首相のすぐ後ろに立っているというのは、不思議な感覚だった。

野田氏の隣には、公明党の斉藤鉄夫氏が座っていた。斉藤氏は1月に野田氏とともに中道改革連合を立ち上げた元公明党の代表である。会合自体は短時間で終わったが、私の印象に残ったのは、2人が隣り合って座り、何気なく挨拶を交わしていたことだった。自ら立ち上げた党の先行きが不透明ななかでも、普段どおりに言葉を交わす姿が印象的だった。

中道、引き続き支持拡大目指す考え 野田・斉藤代表が会見 | ロイター

写真: 野田佳彦元首相、ロイターより

会合の後は、自由民主党のエリアにある廊下を案内してもらった。そこでは、元首相の石破茂氏や河野太郎氏、上川陽子氏など、著名な政治家たちの姿を見かけた。石破氏は、想像していたよりも背が高かった。かつて各国の元首脳と廊下ですれ違うというのは、この日思いがけず印象に残った出来事の一つだった。

また、議員たちが通り過ぎるのを見ながら、その名前に「先生」を付けて呼びかける男女の姿も目にした。周囲に議員の名前を知らせていたのか、単に本人に声をかけていたのかは分からなかったが、国会の廊下でもさまざまなやり取りがあることが分かった。

その後、私は田名部氏とも会うことができた。先ほど議場で高市首相に質問していた姿とはまた違い、田名部氏はほかの国会議員2人とともに、生放送の質疑応答番組に出演していた。議場でのヤジや激しい応酬とは違い、落ち着いた雰囲気のなかで質問に答える姿が印象に残った。


一日に3人の首相経験者を見ることができたのはもちろんだが、私にとって興味深かったのは、議場の外で何が起きているのかを知ることができた点でもある。立憲民主党と中道改革連合の会合では、それぞれの雰囲気の違いを感じることができた。また、議員たちが廊下を歩き、次の会合へと向かっていく様子も目にした。

そして、訪問から1週間後に簗氏が辞任したことで、国会で過ごす一日一日の意味についても考えさせられた。私にとっては普段の国会審議の一つに見えた日も、実際には政府の要職をめぐる大きな動きにつながる議論が行われていた。国会で働く議員たちにとっては、全国ニュースになるかどうかにかかわらず、毎日の審議や会合が重要な意味を持っているのだろう。

1 NHK WORLD-JAPAN

2 The Japan News

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