ウェールズ首相が落選: エルネド・モーガン辞任、現職のまま議席を失った初の英国地方首脳に

写真: BBC (2025)

読了時間: 約3〜4分

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2026年5月7日に行われたウェールズ議会 (セネッド) 選挙の結果を受け、ウェールズ首相であり労働党ウェールズ支部党首でもあったエルネド・モーガンは辞任に追い込まれた。今回の選挙でウェールズ労働党は、1999年にウェールズ自治政府が発足して以来最悪の結果を記録しただけでなく、モーガン本人も自身の選挙区で敗北した。これは、現職のまま英国の構成国指導者が議席を失った初めての事例であり、イギリス政治史上でも極めて異例な出来事となった。¹ ²

ウェールズはイギリスを構成する4つの国 (イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド) の一つであり、独自の議会と自治政府を持つ。1999年の地方分権以降、ウェールズでは労働党が一貫して第一党の地位を維持してきた。そのため、今回の選挙結果はウェールズ政治における歴史的転換点として受け止められている。

モーガンはウェールズ史上初の女性首相として就任したが、その時点ですでに党は厳しい状況に置かれていた。前任者のヴォーン・ゲシングが数ヶ月で辞任した後を継ぎ、有権者の「労働党疲れ」が強まる中で政権運営を担うことになったのである。さらに、ウェールズ自治政府だけでなく、ロンドンの英国労働党政権に対する不満も逆風となった。特にNHS (国民保健サービス) の待機時間の長期化、経済停滞、公共サービスへの批判、そしてスターマー政権への失望感などが、支持離れを加速させたとみられている。³

選挙戦中から、ウェールズ労働党の苦戦は明らかだった。4月の世論調査では、ウェールズ民族主義政党プライド・カムリや右派ポピュリスト政党リフォーム UK が労働党を上回る場面も見られた。モーガン自身も”接戦”だとして、自らの落選可能性を認めていた。さらに、選挙運動中には演説で誤ってウェールズ語で「プライド・カムリに投票してください」と発言してしまい、直後に言い直す場面も話題となった。

Rhun ap Iorwerth: Is the man on the brink of power in Wales ready to  govern? | Politics News | Sky News

Photo: スカイニュース. プライド・カムリの党首、ルーン・アプ・イオルウェルス (2025)

最終的に、プライド・カムリがセネッド第一党となり、100年以上続いたウェールズ労働党支配が終わりを迎えた。また、リフォーム UKも大きく議席を伸ばし、これまで主にイングランドの現象と見なされてきた英国政治の分裂が、ウェールズにも広がっていることを示す結果となった。

この結果は、英国連合王国の将来にも大きな意味を持つ。現在、スコットランドではスコットランド国民党 、北アイルランドではシン・フェインが強い影響力を持っており、今回ウェールズでも民族主義系政党が第一党となったことで、イギリスの「周縁地域」でナショナル・アイデンティティを重視する政治勢力がさらに存在感を強める形となった。現時点でプライド・カムリは即時独立を主張してはいないものの、今後はウェールズ自治権拡大や、イギリス国家そのものの将来をめぐる議論がさらに活発化すると考えられる。

写真: Nation Cymru. エルネド・モーガンと鈴木浩

個人的に、私はモーガンを「日本との交流に積極的だった政治家」として記憶している。特に印象的だったのは、駐英日本大使の鈴木浩とともに日本国歌『君が代』を歌った場面だ。 鈴木大使がウェールズ国歌を歌ったことへの返礼として、モーガンも日本語で国歌を披露したが、その発音やイントネーションは驚くほど自然で、日本のメディアでも報じられた。こうした交流は、近年深まりつつある日英・日ウェールズ関係を象徴する温かなエピソードかと思われます。

¹ BBC News

² The Guardian

³ BBC News

ITV News

日テレNEWS NNN

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