10代で受けた自閉スペクトラム症の診断

読了時間: 約3〜5分

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2018年12月に日本からイギリスへ引っ越し、2019年1月から新しい中等学校に通い始めた。当時は14歳、8年生 (中学2年生) だった。8年間日本で暮らしたあとにイギリスへ戻るのは簡単なことではなかった。このブログでも触れていくが、学校文化の違いは大きく、友達を作るのにも苦労した。ちょうどその頃、初めてパニック発作を経験するようになり、パニック症だと診断されたのだ。吐き気や腹痛、過呼吸、頭痛がほぼ毎日のように続いていた。そんな状態が続く中、数ヶ月後に自閉スペクトラム症と正式に診断された。

父と一緒に訪れたクリニックで、訛りの強い職員と若いアシスタントが対応してくれたのを覚えている。その場で、実は6歳のとき、日本へ行く直前にも正式な診断が下されていたことが分かった。ただ、その結果は当時家族には十分に伝えられていなかった。

当時の自分は、自閉症についてほとんど何も知らなかった。インターネットのネタ動画やミームでしか触れたことがなく、「クラスの自閉症の子が〜し始めると…」といった形で、誰かが叫んだり暴れたりするような内容ばかりだった。そうした文脈を知らずに見ていた多くの子どもと同じように、自分の中でも「自閉症=クラスにいるちょっと変わった子」というイメージが無意識にできあがっていた。ですので、診断を告げられたとき、真っ先に思い浮かんだのもそのイメージだった。

診察のあと、祖父と一緒に森へ犬の散歩に出かけた。会話の内容はいつもと変わらない、他愛のないものだった。家に戻ってからも祖母の様子は普段通りで、特別扱いされたり、何か説明されたりすることもなかった。そのときの自分は、むしろそれにほっとしていた。

それまでにも何度か転校を経験していたので、友達作りが簡単ではないことは分かっていた。前の学校では1年半通ったが、親しい友人ができるまでにほぼ1年かかっている。だからイギリスでの新しい生活でも、また最初は一人だろうと覚悟していた。

転校して1か月ほど経った頃、クラスにもう一人新しい生徒が入ってきた。彼女はあっという間に友達を作っていった。父には「もう君は “新入り” (ニュー・ボーイ) じゃないんだから大丈夫だ」と言われたが、彼女が自然に人と話していく様子を見て、「どうしてそんなに簡単にできるんだろう」と感じていた。自分と同じように、誰もが人付き合いに苦労しているものだと思っていたからだ。でも実際は違った。自分は自分から話しかけることをせず、相手から来てくれるのを待っていた。そして話しかけられても、何を言えばいいのか分からず、うまく返せないことが多かった。そのとき、もしかしてこの診断が関係しているのではないかと思い始めた。

同時に、日本にいた頃のことも思い出した。発達支援のような施設に通い、大人と一緒にブロックで遊びながら、その様子を母に伝えられていた。当時はただ遊べる場所だと思っていたが、成長するにつれて、それが学習面の支援や診断に関わるものだったのではないかと気づいた。そして今回の診断をきっかけに、すべてがどこかで繋がっていたのではないかと考えるようになった。

その日のことで、特に印象に残っているのが診断のまとめの書類だ。「現在の強い執着はマーベル (アメリカのコミック出版社・映画シリーズ)」と書かれていた。英語では obsession という言葉が使われており、単なる興味というよりも、過剰にのめり込んでいるかのような強い断定を含んだ表現に感じられた。

当時は映画『アベンジャーズ: エンドゲーム』公開の少し前で、周りの影響もあり1年ほど前からヒーロー映画を観るようになっていた。正直なところ、内心では子どもっぽいと感じていて、なぜ同世代の間で急にスパイダーマンが再び人気になっているのかもよく分からなかった。それでもいくつかの作品は楽しめたが、「好きになろうとしている」感覚は自分でもあった。

診察の中で「最近はマーベルに夢中だと思う」と話したことが、そのまま「こだわり(強い執着)」として切り取られたのだと思う。

14歳だった当時でも、「obsession (強い執着)」という言葉を読むとしっくりこなかった。それは、自分をきちんと理解したうえでではなく、簡単に一つの枠にはめるための言葉のように感じられた。今ではハイパーフィクセーション (強い興味の集中) という概念を知っていて、自分にもそうした傾向があることは分かっている。それでも当時は、ただ単純に「夢中」ではあっても、「obsession」と呼ばれるようなものではないと自分では感じていたし、その表現には違和感があった。

こうして、自閉スペクトラム症というものを理解していく自分の過程が始まった。この診断とどう向き合い、どう生きていくのかについては、これからの記事でも少しずつ書いていこうと思う。

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