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2024年11月、東京西部の御岳を訪れた。目的は、日本のバンド Fishmans (フィッシュマンズ) のアルバム『LONG SEASON』(ロングシーズン) のジャケット写真が撮影された場所を見ることだった。16歳の頃から聴き続けてきたバンドだが、明治学院大学に入学してから、彼らが同じ大学で結成されたことを知った。今回の旅には、南アフリカ、アメリカ、フィリピンにルーツを持つ3人の友人も同行した。世界の異なる場所とつながりを持つ4人が、日本の大学の音楽サークルから生まれたバンドをきっかけに集まったのだ。

フィッシュマンズを初めて聴いたのは2020年の暮れ、高校1年生のときだった。レゲエやダブを土台に、ドリームポップやサイケデリックな要素を織り交ぜた独特のサウンドに惹かれた。なかでも印象的だったのが、ボーカルを務める佐藤伸治の歌声だ。どこか浮遊感のあるその声が、バンドの音楽に夢の中にいるような感覚を与えていた。

数ある作品のなかでも、特に気に入っているのが1996年に発表された『ロングシーズン』だ。約35分にわたる一つの楽曲で構成され、曲が進むにつれてメロディーや楽器の重なりが少しずつ変化していく。長いインストゥルメンタルのパートも含め、最初から最後まで通して聴くことで、その魅力がより伝わってくる作品だ。

ライブ盤『98.12.28 男達の別れ』に収録された演奏も、ファンの間で特に高く評価されている。この作品は、リードシンガーの佐藤伸治が参加した最後のライブを収録したものだ。1999年に佐藤が亡くなり、フィッシュマンズの活動は大きな転機を迎えた。活動当時、日本での商業的な成功は限定的で、同時代の多くの人気バンドのように広く知られていたわけではなかった。しかし、その後も作品は聴き継がれ、海外を中心に熱心なファンを獲得していった。

その再評価を後押ししたのが、インターネット上の音楽コミュニティだった。4chanの音楽板やRate Your Musicなどの掲示板・音楽データベースを通じて、日本のバンドを普段あまり聴かない海外のリスナーにもフィッシュマンズの作品が広まっていった。『ロングシーズン』は、Rate Your Music で歴代29位にランクインするなど、そうした音楽コミュニティでも特に高く評価されているアルバムの一つとなっている。

画像: Fishmans『98.12.28 男達の別れ』のジャケット

2023年初め、明治学院大学の入学試験に合格した私は、大学の著名な卒業生や関係者について調べていた。そのとき、フィッシュマンズが1987年に同大学で結成されたことを知った。メンバーが所属していた音楽サークルは現在も活動を続けており、思いがけないつながりに驚いたのだ。

入学式では、その音楽サークルがフィッシュマンズの写真を掲示して新入生を勧誘しているのを見かけ、うれしくなった。さらに後日、2021年公開のフィッシュマンズのドキュメンタリー映画を観ていると、ドラマーの茂木欣一が歩く場面に見覚えのあるキャンパスが映った。自分が通う大学が、好きなバンドの歴史とつながっていることを改めて実感した瞬間だった。

『ロングシーズン』のジャケット撮影地を訪ねたいという思いは、以前からあった。写真には、木々に囲まれた場所で、手すりのそばに立つフィッシュマンズのメンバー3人が写っている。電車で片道約3時間かかる場所だったこともあり、一緒に行ける友人がなかなか見つからなかった。そんななか、授業でフィッシュマンズを好きなアーティストとして挙げていた南アフリカ出身の学生と知り合った。話が弾み、2人で撮影地を訪ねる計画を立て、さらに2人の友人を誘うことになった。

私たち4人は、それぞれ英国と日本、南アフリカ、アメリカ合衆国、フィリピンにルーツを持っていた。異なる背景を持ちながら、同じ日本の大学で学び、約40年前にその大学で結成されたバンドを好きになったことが、今回の旅につながった。

電車で沢井駅まで行き、周辺を歩きながら御岳方面へ向かった。川に架かる橋の下には水が流れ、あたりの木々は秋の色に染まっていた。東京の街中とは違う景色を楽しめた一方、11月にもかかわらず暑さが残り、歩いていると夏に戻ったような気分になった。

撮影地に近い林の中までたどり着くと、ジャケット写真に写っていた当時の風景から変わっている部分もあった。2017年の台風で小さな橋の一部が失われ、立ち入りも制限されていた。それでも、残された手すりや周囲の景色から、アルバムの写真に写っていた場所を確かめることができた。

手すりには、訪れた人たちが残したメッセージもあった。なかにはフィッシュマンズの名前を書いたものもあり、自分たちより前にも、この場所を目指してやってきたファンがいたことがうかがえた。私たちは順番に、元のジャケット写真を再現するように写真を撮った。私は佐藤が着ていたシャツに近づけようと、青いボタンダウンシャツに着替えた。

何年も音楽を聴きながら眺めていた写真の風景が、目の前に広がっている。実際にその場に立つと、不思議な感覚があった。

1996年、明治学院大学で出会った3人の学生が、山あいの手すりのそばで写真を撮った。それから28年後の2024年、今度は異なる国や地域にルーツを持つ私たち4人が、同じ場所でその写真を再現した。フィッシュマンズが生まれた大学に通っていたことも含め、少し不思議な縁を感じる旅だった。

翌2025年には、フィッシュマンズのライブを観る機会にも恵まれた。『ロングシーズン』が約40分にわたって演奏され、長年聴いてきた曲を生で体験できたことは忘れがたい。フィッシュマンズは2027年にも公演を予定している。『ロングシーズン』の発表から約30年が経とうとする今も、日本語の歌詞がわからない海外のリスナーを含め、世界各地で新しいファンを獲得し続けている。

フィッシュマンズのファンには、ぜひ一度、御岳まで足を運んでみてほしい。ジャケットの撮影地を訪ねられるのはもちろん、川や周囲の木々も美しく、東京の街を離れて自然の中を歩く時間そのものが心地よい。アルバムを聴いてから訪れれば、いつも耳にしている音楽の風景を、また違った形で感じられるはずだ。

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